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【現教室長が語る】塾のタブレット学習で小中学生の学力は上がるのか?

最近学習塾でタブレット教育が話題になっていますよね?

有名どころで言えば「Atama+」「ものぐさ」。

こういったソフトウェアを利用しながら、子供たちにタブレット教育を促す塾が多くなっています。

塾側はタブレット教育を導入する理由を

先生
先生
タブレットの方が効率よく学ぶことができ、子供たちの学力的な向上につながるんですよ!

と説明しています。

しかし本当にそうなのでしょうか?

私は現場で指揮を取っていて、小中学生であればタブレット教育はむしろ学力を下げる可能性もあると感じています。

高校生は成人に近く自立心が高いですが、小中学生はそうとは言えないからです。

先生
先生
今回はタブレット教育を実際に導入をしている塾の立場から、タブレット教育の裏側について話をしていきたいと思います。

塾がタブレット教育をしたいビジネス上の理由

まず塾がタブレット教育を大々的に行いたい裏の理由をお話します。

今からお話するのは、全ての塾が当てはまるワケではありません。

しかし、全てが当てはまらなくとも部分的に該当する塾がほとんどだと思います。

人的コストを削減できる

タブレット端末を活用した教育を塾側が行う本当の狙いは人件費の削減です。

タブレットは先生が傍に付かなくても画面上でAIが指導を行ってくれます。

ですので、先生が生徒一人ひとりに時間をかける必要が無くなり、業務負担を軽くしてくれるのです。

先生
先生
特に近年は働き方改革の影響で先生の長時間労働が問題視されています。現場に張り付かなくても、指導時間を費やす方法がタブレットなのですね。

極端な所では、教室の生徒全員がタブレットを使用して先生は全くいない状態とのところもあるようです。

このようにタブレットを活用することで人的なコストを削減することができるのです。

広告宣伝の材料に使える

タブレット教材は塾側の宣伝広告に役立ちます。

タブレットを使っていると最新鋭の教育機材を駆使している感じがして、保護者の方に「なんか凄そう」と思わせることができます。

実際、塾のホームページやチラシ、のぼり旗などで積極的にAI教材を宣伝している塾はたくさんあります。

先生
先生
まだタブレットを導入している塾が少ない分、広告宣伝としては目立ちますよね。

このようにタブレット教材は新しい広告塔として持ってこいなのです。

生徒の学習管理がしやすくなる

タブレットを使うと生徒の学習管理がしやすくなります

先生は普段から大勢の生徒を見ているので、1人1人がどんな学習をしていて、どんな課題を持っているのか正確には把握しきれていません。

そこで使えるのがタブレットによる学習管理です。

タブレットを使うことで子供たちが「実際に何時間勉強して、どういった部分を間違えて、きちんと復習したのか」全てデータベース上で記録されます。

その記録をもとにすれば、指導がしやすくなりますし、何より保護者と話をしやすくなります。

タブレット教育で本当に成績は上がるのか?

では実際にタブレットを活用したら成績は上がっていくのでしょうか?

ここでは2つの視点が必要だと考えています。

  • 自分の子供が塾でのタブレット教育に向いているのか?
  • タブレット教育で上がる「科目・単元・分野」はなにか?

これら2つの条件をクリアすれば、タブレット教育に向いていると言えるでしょう。

塾でのタブレット教育に向いている子

個人的な意見としては、自立学習ができる子は上がっていくが、そうでない子は逆に下がると思います。

タブレットは容易にインターネットにつなぐことができます。ウェブ上でYouTubeを見たりInstagramを開いたりして遊ぶことができます。

特に、学習塾はWi-Fiが張り巡らされています。

最初は真面目に取り組んでいても、周囲がタブレットで遊んでいると、段々と流されてしまいます。

お母さん
お母さん
でもタブレットでYouTubeとかInstagramにアクセスしていたらバレるんじゃないの?

そう思われるかもしれませんが、先生たちも履歴をいちいちチェックしたりはしません。

膨大な時間がかかるからです。

それどころか、先生がそばできちんと見ていない場合がほとんどです。

先生
先生
特に中学生の子供たちに対してタブレット端末は要注意です。中学生は多感な時期で誘惑にすぐに飛びつきます。

なので、タブレットを与えると逆に勉強しなくなるそういった子も出てくるでしょう。

タブレット教育で上がりやすい単元・分野

単純作業を要するものであれば上がりやすいと思います。

例えば「国語の漢字」「数学の計算問題」「英語のスペリング」。

これらは積み重ねが必要でどのぐらいやったかという「量」が重要になってきます。

しかし、その分自学では管理が大変です。

例えば漢字帳。どこを間違えたか自分でチェックして、間違えた単語だけをやり直して、
日数が経てばもう1度間違えた単語だけをやり直す。

文字におこしただけで大変さが見て取れますよね?

それをオンライン上で全て集計してまとめることが出来る分、タブレット学習は学習効率が高いと言えます。

塾はタブレット教材をメインにすべきでない

タブレットは正直、ご家庭の補助教材として使われた方が良いと思います。

わたしはタブレット教材を否定はいたしません。

事実、計算・英単語・漢字などは、タブレット教材の方が向いていると思います。

しかし、学習塾でタブレット教材ばかりをやるのはいかがなものでしょうか?

先生
先生
学習塾に行く意味は「良き指導者」「良きライバル」と巡り合えるからであり、同じ時間をタブレット画面と向き合うなら家庭でやるのと何も変わりません。

もし塾側が授業中もタブレット教材でガッツリ進めているなら要注意です。

そこにはどうしても楽したいという塾側の思惑が見え隠れしている様に感じます。

あくまで補助教材として活用すべきだと思います。

まとめ

以上が「学習塾がタブレット教材を推し進めている理由とその効果」についてでした。

まとめ
  • 塾がタブレットを導入するのはビジネス上の理由が大きい
  • タブレットをメインで運営している塾には要注意
  • タブレットは単純作業の学習に向いている

今回お話したのはあくまで個人的な主観です。

全ての塾がタブレット教育をビジネスとして見ているわけではありませんし、結果を出している所もあるでしょう。

現場の先生に運用状況を確認しながら実施状況を見定められると良いですね!

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。